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すでに多数の企業が、貧しい農家に対する改良型天候保険の提供に乗り出している。インドに進出した保険会社ICICI Lombard やBASIX、またウクライナでは国際金融公社や保険会社Credo Classicなどが大成功を収めている。アフリカでも、世界銀行が先導する同様の動きがみられる。中米では様々な国の政府が米州開発銀行(Inter-American Development Bank)や中米経済統合銀行(Central American Bank for Economic Integration)と共同で天候保険の導入を進めている。
ジェフリー・ザッハは新著「貧困の終焉The end of poverty」で、先進国からの適切な援助をもってすれば、この先数十年のうちに、世界の貧困は終わりを迎えられるかもしれないと主張している。彼のことを非現実的な理想主義者と決めつける人もいる。しかし、よりいっそうの豊かな国からの支援と、改良された金融と保険技術の両方をもってすれば、彼の主張が正しいと証明されるかもしれない。
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Anders Åslund
considers what the US presidential election will mean for Ukraine, says that only a humiliating loss in the war could threaten Vladimir Putin’s position, urges the EU to take additional steps to ensure a rapid and successful Ukrainian accession, and more.
G8経済閣僚は、世界で最も貧しい18カ国が負う計40億ドルの借金を帳消しにすることで合意した。これは各国間の共通意識がもたらした成功と言えよう。しかし、18カ国それぞれにおいては一人当たりわずか238ドルの割り当てとなり、貧民を救うには、借金からの開放だけではまだまだ足りない。
このような先進国による貧民援助は増えつつあるが、不十分な部分も様々な努力で補足することができている。なかでも注目すべきは、貧民に対して狙いを定めたリスク管理を提供する動きで、最終的にその価値は40億ドルをはるかに越えるといわれている。
新型の保険や金融派生商品などの新しいリスク・マネジメント商品は、主として財産家、少なくとも割に豊かな人々だけを対象にしているものと思われがちだ。しかし、実際には、アフリカ、アジア、そして南米の最貧の人々のために、新しいリスク・マネージメント商品が開発されている。
私達は、世界で最貧の人々が毎年入れ替わっているということを認識するべきである。幸運と不運は無作為に入れ替わるし、最貧の人々は、漁村を嵐が襲うなどの不幸に見舞われたときなどに、特に傷つきやすい。このような時、リスク・マネジメントは、収入の高低の差を減らし、貧困による影響を緩和できるため、非常に重要だと言える。
そもそも、リスクは、管理されていない状態では、経済成長の前途を遮ってしまう。リスク・マネジメントなしでは、どんな失敗も破滅的になりうるのだから、貧民は新しい穀物を試作したり、より生産的な方法を試したりはしないだろう。
例えば、生存するために最低限の農業を営む地域では、不作が翌年の収穫を待てずに飢餓を引き起こす可能性がある。さらに典型的には、不作は「単純に」経済基盤の急速な崩壊を招き、そして困難に満ちた未来へと続く。もし、貧しい農家が不作の翌年に何の援助も受けなければ、その一家は荷物運搬用の家畜を食べ、畑に栄養を与える木を切り倒し、手当たり次第に農具を売り、次の季節に撒くために取っておいた種さえ食べてしまうだろう。必要とされるときに、資金を提供することが肝要なのである。
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残念なことに、世界銀行コモディティリスクマネジメントグループのジョアナ・シロカによれば、海外からの公式支援金と私的チャリティーはほとんどの場合、届くのが遅すぎるという。飢饉が実際に始まり、家族たちは生き延びるための資本を食い潰すという究極の選択をとっくにしてしまっている状態だ。他国からの支援金は、貧しい人々を生かし続けている一方で、その後何年にもわたって経済的に無力にさせてしまう。シロカと彼女の同僚たちは、このようなことを避けるために、十分な額の支援金を確実に飢饉前に届けさせる近代金融テクノロジーの導入、活用に勤めている。
従来の農家のリスク管理方法には、作物の出来の悪さを直接反映する作物保険がある。しかし、作物保険はエコノミストが「モラルハザード」と呼ぶ、倫理観の欠如が難点である。支払いがすぐにされるとわかっているため、農家は作物の世話を怠ったり、出来の悪い作物を持ち直させるための投資を惜しみ、
さらには失敗するとわかっている作物を植えることさえある。収穫を必ず成功させようというインセンティブを減らしてしまうのである。このため、民間の作物保険会社が不足し、結果、高額な政府助成金が頻繁に必要となる。
しかし保険は、進歩した情報技術によって改善されつつある。作物保険につきものの「モラルハザード」も処理することが出来る。保証の対象を、実際の不未収穫という結果そのものではなく、それを引き起こした要因である悪天候にすれば良いのである。農民は天気を操ることは出来ないから、モラルハザードも起きないというわけだ。
過去には、天候保険は農家のリスクを効果的に管理できなかった。天候が作物に与える影響を十分に計りきれていなかったためである。天候保険をリスク・マネジメント商品のように効果的なものにするには、細かな地域レベルでの天候を、正しい時間に正しく測定しなければならない。例えば、作物は種の発芽時など特定の時期に特に傷つきやすい。また、多年生植物であれば前年の悪天候の影響を強く受けているだろう。
最近の天候保険は、多数の先端の天候予報センターを駆使し、農業科学の深い知識を用いて、天候が地域の農業に与える影響を調べている。異なる種類の作物はそれぞれ受ける打撃も違う。天候保険は多様な作物の種類と植付けの時期を計算に入れなければならないが、近代の情報技術によってこの複雑な問題を解決できている。
すでに多数の企業が、貧しい農家に対する改良型天候保険の提供に乗り出している。インドに進出した保険会社ICICI Lombard やBASIX、またウクライナでは国際金融公社や保険会社Credo Classicなどが大成功を収めている。アフリカでも、世界銀行が先導する同様の動きがみられる。中米では様々な国の政府が米州開発銀行(Inter-American Development Bank)や中米経済統合銀行(Central American Bank for Economic Integration)と共同で天候保険の導入を進めている。
洗練されたリスク・マネージメントを推進する取次店や政府の数には期待が持てる。
しかも、リスク・マネジメント技術、保険や金融を導入する際には、外資予算をあまり必要としない。会社員、携帯電話、コンピューターなど、割と少なくて済む。情報通信技術の改革が進むことで、電話やコンピューターも徐々に安くなり、開発成長に必要なものとして導入が可能になっている。
ジェフリー・ザッハは新著「貧困の終焉The end of poverty」で、先進国からの適切な援助をもってすれば、この先数十年のうちに、世界の貧困は終わりを迎えられるかもしれないと主張している。彼のことを非現実的な理想主義者と決めつける人もいる。しかし、よりいっそうの豊かな国からの支援と、改良された金融と保険技術の両方をもってすれば、彼の主張が正しいと証明されるかもしれない。
ロバート・J・シラー